区分所有者
投資額に見あう資産価値が確保できる」という説得で、おおかたの区分所有者は建替えを考えるようになった。以来、管理組合は建替えを方針として検討を進め、被災二年後に、区分所有法第六二条に規定された「建替え決議」を実現している。区分所有法では、建物の復旧に過分の費用を要する場合には五分の四以上の賛成で建替えを決定できるとしている。これにたいして、住民二人は「建替えにくらべると安価に補修が可能であり、第六二条の法定建替えの要件を満たしていない」として、総会決議の無効を訴えた。ここでは、第六二条の要件となる費用の過分性については述べない。原告側が主張する合意形成手つづき上の問題を紹介しておきたい。それらはおおむねつぎの三点に要約される。①管理組合は総会決議にあたって、建替え案を優先し、補修案にたいして十分な検討をしていない。②経済的弱者にたいする配慮に欠ける。③補修すれば十分に使える建物を建替えるのは、地球環境保全のうえからも不当である。これらはいずれも法廷ではほとんど審議されなかったが、原告側が建替えに反対する基本のところとなっている。団地マンションの建替えをめぐってもう一つのマンションは交通至便なニュータウンにあり、緑に囲まれたゆったりした団地である。敷地にゆとりがあるために、早くから等価交換方式による建替え計画がもちあがっており、前述した国立富士見台団地の大規模修繕工事実施前と同様、十分な補修工事がされずに現在にいたっている。